これは、昔のジョジョをノベライズしてツッコミや感想を書いたコーナーです。


20巻第7話
『愚者(ザ・フール)』のイギーと『ゲブ神』のンドゥール その6の巻

『どこだッ!どこだ承太郎!?動いていない じっとしている・・・・・かなり近くまで来ているはずだ・・・』
周りを自分の水スタンドで防御しながら必死で承太郎の気配をさぐるンドゥール
『いったい・・・いった!どこにいるのだ?承太郎・・・・・・』
しかしその時承太郎はンドゥールの真後ろに立っていた!
ゴゴゴゴゴ
「ヒッ!」
イギーが頭を抱えて伏せる
「ハッ!」
そのイギーの様子を感じてンドゥールは悟った
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ンドゥールの背後に立つ承太郎
承太郎は足元を見る
水スタンドは承太郎の足元に有りながらたどりついてはいない
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
イギーは頭を抱えながらこれから起こる事を不安がっている
ゴゴゴゴゴゴ
汗をかいているンドゥール
その後姿を見つめている承太郎
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「そうか」
ンドゥールがつぶやく
「そこまで近づいていたとは・・・もしこの『水のスタンド』を自分の所まで戻して周囲をガードしていなかったならすでに背後からおまえにたおされていたということか・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴ
承太郎は黙っている
「もはや このつえで音を探知する必要は・・・・・・・なくなったようだが このつえは帰るときに・・・・・・・・」
そう言ってンドゥールは手にもったつえを砂の上に立てる
ピタリ!
「必要」
手を離すと砂にしっかりと刺さっていないつえは倒れてくる
承太郎の横顔
ンドゥールの表情
つえが今にも砂の上に倒れるというその時!
「イギィアアーッ」
鳴いて逃げ出すイギー
キィーン
まるで時が止まったように二人に緊張が走る
イギーのあせった顔
ドン
承太郎の背後から出るスタープラチナ
シュバ!
ンドゥールの水スタンドが承太郎の方に飛ぶ
つえはもう倒れて地面に付く!
ドッゴォァ
「オラァ!」
しかしスタープラチナが一瞬早くンドゥールにパンチを叩き込む!
「ゲフッ!」
口から血を吐くンドゥール
バッフォッ
承太郎の帽子が水スタンドに吹っ飛ばされる
パタン!
倒れて地面に付くつえ
ドバァァァアアア
吹っ飛ばされて地面をすべるンドゥール
ググ!
水スタンドは弧を描き太陽を背に承太郎の背後に落ちる
「オアァアアア」
雄たけびを上げるスタープラチナ
承太郎は無表情
ストッ
地面に着地するイギー
バシィアッ
水スタンドも砂の上に落ちる
ガフッガフッ
ドクドクと血を吐くンドゥール
「海の中でもとらなかった帽子をふっとばしやがって だが安心しな・・・手かげんしてある・・・・・・致命傷じゃあない・・・・」
承太郎が言う
「ニヤリ・・・・・・・・・・」
笑うンドゥール
ズズズ
水スタンドが砂の上を動いてくる
「!」
それに気づく承太郎
ズン
なんと水スタンドはンドゥール自身の頭を射抜いた!
「グッ」
バーン
再び倒れるンドゥール
「バカな 自分のスタンドで自分を!きさま!なんてことを!」
ンドゥールのそばにひざまずき承太郎が言う
「承太郎・・・・・・・おまえ・・・・・・このわたしから・・・・・・これから出会う 我々のあと8人の仲間について聞き出そうと考えてたろう」
ンドゥールが言う
「ジョセフ・・・ジョースターのスタンド『隠者(ハーミット)』は考えていることまで感知してしまうからな・・・・・・しゃべるわけにはいかないよ あの人にとって少しでも不利になることはな・・・・・フフフフ」
「・・・・・・・・・・・DIO・・・・・!」
承太郎は誰のことを言っているのかわかってギョッとしたような顔でつぶやく
「てめーら なんだってそんなにしてまで DIOに忠誠を誓う?死ぬほどにか・・・・・」
承太郎の言葉に答えるンドゥール
「承太郎 おれは死ぬのなんかこれっぽっちもこわくないね・・・・」
口や頭から血を出しながらンドゥールは語り続ける
「フフ・・・・・『スタンド』の能力のせいで 子供のころから死の恐怖なんかまったくない性格だったよ どんなヤツにだって勝てたし 犯罪や殺人も平気だった・・・・・・警官だってまったく怖くなかったね・・・・・」
遠くで様子を見ているイギー
「あの犬はきっと おれの気持ちがわかるだろうぜ」
ンドゥールは話し続ける
「そんなおれが はじめて この人だけには殺されたくないと心から願う気持ちになった その人はあまりにも強く 深く 大きく 美しい・・・・・・そしてこのおれの価値をこの世で初めて認めてくれた・・・・・この人に出会うのを おれはずっと待っていたのだ」
砂の上に倒れ今にも死にそうなンドゥールの話は続く
「『死ぬのはこわくない しかし あの人に 見捨てられ殺されるのだけはいやだ』 悪には悪の救世主が必要なんだよ フフフフ」
承太郎は黙っている
ンドゥールは指先を動かしながら話す
「ひとつだけ教えてやろう おれの名はンドゥール 『スタンド』はタロットカードの起源ともいうべき・・・『エジプト9栄神』のうちのひとつ『ゲブの神』の暗示・・・・・・!大地の神を意味する」
ゴゴゴゴゴゴ
エジプトの壁画のような絵柄のカードに描かれる荒れた野に置いたイスに座る男の横顔と『GEB』の文字、5の数字
ゴゴゴゴ
そのエジプトの神はつえのようなものを持っている
「エジプト9栄神!?なんだそれは!」
承太郎が叫ぶ
「ククク・・・・・・教えるのは・・・・・・自分のスタンドだけだ・・・・・・・おまえはおれのスタンドを倒した だからそこまで教えるのだ」
そう言ったあとンドゥールは黙った
わずかに宙を動いた指
地面に倒れたつえ
「・・・・・・・・・・・・・・」
承太郎は何も言わずにそれを見下ろしている
そして承太郎は砂漠にンドゥールを埋めてやり、その上につえを立てた
バァアアァァア
遠くをみつめる承太郎
「人を狂信的に操るDIO・・・・・・いったいどんな男なんだ!? そして『エジプト9栄神』の暗示・・・・・だと?わけがわからんが とにかく旅は続けるしかねえようだな・・・」
承太郎はそうつぶやいて後ろを振り返る
そこにはイギーがいた
チラリ
ビクっとするイギー
「ウウウ〜」
あせった表情で警戒してうなるイギー
「おいおいかまえるな・・・・・・裏切ってンドゥールのスタンドにおれをさし出したことなど怒っちゃあいねーぜ」
承太郎は言う
「おまえの立場でみれば おれのじじいの勝手で 来たくもない砂漠に無理矢理つれてこられて戦いに巻き込まれて さぞメーワクだったろうよ・・・・・・」
承太郎はそう言うとガムを差し出す
「ホれ イギー ガム食うか」
ガルルル
歯をむいてうなるイギー
ババババ
砂を撒き散らして暴れるイギー
「あばれるな あやまってるじゃあねーか」
承太郎が言う
ダダーッ
イギーは駆け出して向こうに行ってしまう
「やれやれ カワイくねー犬だ さばくの真ん中でかってにしな」
承太郎はきびすを返して立ち去ろうとする
「イギー」
イギーの泣き声にハッとする承太郎
イギーは承太郎の帽子をくわえている
帽子をホイと承太郎によこすイギー
「クーン」
媚びるような表情と声で承太郎の機嫌をとろうとしているイギー
「こいつはたまげた 帽子をひろってきてくれたのか なかなかいいとこあるじゃないか」
嬉しそうな顔をする承太郎
イギーも嬉しそうな表情をする
「ありがとよ」
そう言って帽子をかぶる承太郎
しかし次の瞬間承太郎は何かに気づく
「ガ・・・ガム・・・・・・だ」
承太郎の持っていた帽子のつばの部分にガムがついていたらしい
ウニィ〜ッ
承太郎の帽子のつばから指先に伸びるガム
「ヒヒ」
遠くでニヤついているイギー
「こ・・・このくそ犬・・・・・ただモンじゃねー・・・
つぶやく承太郎
「おおーい!承太郎」
「承太郎!だいじょうぶかあ」
バドドドド
なぜかバックで走ってくるジョセフたちのバギー
ズルズル
「アウオオオオ!」
吼えるイギー
「やれやれだぜ」
承太郎がつぶやく


(つづく)


なんでバックで車がやって来るのかよくわかりませんが
やっと長い戦いにも決着がついたようで良かった良かった。
いや〜とても緊迫感あふれる戦いでしたし、敵もカッコ良かったですね〜
「悪には悪の救世主が必要なのだよ」は名セリフですよ。
この一言で、なぜDIOに忠誠を誓う悪人たちがいるのかがよくわかります。
1部で手下になったジャック・ザ・リパーもそうだったのでしょうか?
「寄らば大樹の陰」とか言いますが、無法者と見える悪人たちもやはり、より安定したものを求めて強い「主(あるじ)」を探すのですかね。
それは神がまごうことなき正義なのと同じように、完全無欠の『悪』であることが絶対なのでしょう。
私には悪人の心境はわかりませんが、承太郎はンドゥールをあっぱれなヤツだと思ったのでしょう。
砂漠に墓を作って埋めてやったようです・・・うーむ、スタープラチナで穴を掘ったらあっと言う間に出来るんでしょうけど
そう言えばエンヤ婆の遺体はどこにやったのでしょうか・・・スピードワゴン財団に押し付けた線が濃厚。

ンドゥールは似てますね・・・ワムウに。まっすぐな忠誠心と、戦いに於いてはフェアなところなんかが。
あの、つえを倒す場面は西部劇で言うところの決闘の合図だと思います。
自分の後ろに立っていた承太郎は、その気になれば背後からンドゥールを襲うことがいつでも出来た(反撃されるのは覚悟)のに
あえてンドゥール自身が気づくまで攻撃をしなかったと。
だからンドゥールもいきなり反撃はせず、あうんの呼吸でつえを倒すことで、正々堂々と早撃ち勝負で決着をつける事にしたのでしょう。
カッコイイ〜。西部劇好きの荒木先生らしい演出ですね。
そして負けたら潔く、仲間の秘密を漏らさないように自ら命を絶つところも、仲間思いの承太郎にはグッと来たのでしょう。
エンヤ婆が最後までDIOの秘密をしゃべらなかったように、このンドゥールの行動も
「ここまで部下にとって大切な存在」だというDIOの大きさ、恐ろしさを思い知らせることになりました。
もう少しで5人を一人でやっつけられたほどの無敵の強さだったンドゥールでも
「この人にはかなわない」と思わせ、そして「この人にだけは見捨てられたくない」というほどに尊敬され恐れられる存在、DIO。
間接的にその強さを見せ付けられた承太郎は、いくら勝利したとは言え、これからの戦いに戦慄を感じたことでしょう。

さてイギー。先回はカンタンに裏切ったバカ犬でしたが
今回は承太郎の強さと頭のよさを身をもって実感したのか、媚びを売るという行為に出てきてます・・・と思ったらワナでしたが。
でもきっとイギーは「こっちについた方が良さそうだ」という認識は持ったはずです。
それでも、あんなにヒドイことをした承太郎に一泡吹かせてやろうという根性は、憎たらしいながらもたいしたタマ(オスだっけ)だと思います。
まだまだ野良犬の誇りは捨ててませんね〜

今回もうひとつ気になったのは「あの犬はおれの気持ちがわかるだろう」というンドゥールの言葉ですが
スタンドだけを頼りに、何も恐れず傍若無人に振舞ってきた自分の人生を
野良犬の王として君臨してきたイギーの気ままさや世間知らずさに投影したのでしょう。
さて、ンドゥールがその強さに触れ、忠誠を誓ったDIOのように
承太郎たちはイギーの忠誠を勝ち取る事が出来るのでしょうか?



それでは来
週は水曜に『今月のジョジョ』をやります。お楽しみに
アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリーヴェデルチ!



ウルトラジャンプにはアンケートはありません。
が、プレゼント応募券に書く項目にはしっかり『面白かった作品の項目が。
というわけでプレゼントが欲しくても欲しくなくても毎号出して『スティール・ボール・ラン』を応援することにします。

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